神戸の北に接する三木市は古くから米どころとして知られてきました。
特産品の『山田錦』は「酒米の王様」と呼ばれ、大吟醸酒造りに最も適した酒米と讃えられています。
三木市の吉川町(よかわちょう)は、六甲山系の運河や河川が多数流れる水に恵まれた山田錦発祥の地。
吉川町(よかわちょう)で近年急速に発展したのが国産ブランドうなぎの養殖でした。
六甲山系の清水で育て、山田錦の酒粕を食べさせて育てた『よかわ錦うなぎ』は、
老舗の専門店の鰻職人たちをも唸らせ、一躍、国産ブランドうなぎの最高峰のひとつに数えられるようになりました。
水とお米。天然の恵みが生んだ隠れたうなぎの名産地です。
灘五郷
灘五郷とは日本の清酒生産量の三割を占める五つの酒造地の総称です。
兵庫県の西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷はいずれも数百年以上酒造りが盛んな地域として知られてきました。
菊正宗・白鹿・白鶴・大関・沢の鶴など名のある銘酒はすべて灘五郷が生んだ傑作なのです。
では灘五郷はなぜ酒造の聖地と成り得たか?
その理由は『六甲の宮水』と特A酒米『山田錦』がこの地でのみ収穫されていたことに他なりません。
そして、山田錦の生産量で全国一を誇るのが『よかわ錦うなぎ』のふるさと三木市吉川町(よかわちょう)なのです。
吉川町(よかわちょう)
吉川町は『山田錦』の生産量全国一の三木市を支える特A地区の田園地帯です。
神戸の北にある三木市の北東部にあり、人口は1万人足らずといったところでしょうか。
起伏の少ない丘陵地に広がった盆地は、盆地の中央には美嚢川、北部に北谷川が流れ、水源に恵まれた昔ながらの田園風景が広がっています。
その水源の豊かさを象徴するかのように、美嚢川から流れる黒滝は、落差4メートル、幅30メートルという小さなナイアガラを思わせる景観で、吉川町の観光名所のひとつになっています。
また、盆地の地質は粘土質であることに加え、朝夕の温度差が10度以上になりやすい地形という稲作に最適な条件が揃っています。
そんな吉川町の一番の特産品はもちろん『山田錦』で、毎年3月の第2土日曜日には『山田錦まつり』が開催されています。
吉川町を含む三木市は山田錦の生産量日本一の特A地区に指定されており、「酒米買うなら土地を買え」とうたわれるほど、この地区産の酒米は珍重されています。
『よかわ錦うなぎ』の飼料には地元で収穫した山田錦の酒粕や米粉がふんだんに配合させています。
山田錦作り
吉川町は日本一の『山田錦』の産地ですが、意外なことに大きな専業農家が少なく、田園のほとんどは個人の兼業農家が営んでいます。
そのため、隣り近所の農家同士が協力して稲の確認を行ったり、栽培方法についてもアドバイスし合ったりと、町ぐるみに山田錦作りに取り組まれています。
山田錦は稲穂の背が高く、実り方が重いため、風雨や台風の影響をもろに受けてしまいます。そのため、毎日の見回りと世話が大切になってきます。
特に収穫の時期が近づくと毎日近所の田んぼまで回って、いつ刈り取りを行うか皆でギリギリを見極めているといわれています。
しかし、これは逆に考えれば、山田錦は、背が高くてずっしり実る稲穂を支えられるだけ、根をしっかり張り育っているとも言えます。
そんな素晴らしい稲穂が育つのは、吉川町が大地のミネラル豊富で水の豊かな土地柄だという証拠に他なりません。
吟醸酒と吟醸鰻
日本酒の最高級のグレードと言えば、やはり吟醸酒でしょう。
山田錦は、吟醸酒に最も向いた品種ゆえ「酒米の王様」と讃えられてきました。
ではなぜ、山田錦は吟醸酒に向くのか?
その理由は、普通の酒米に比べてタンパク質やアミノ酸が少なく雑味が少ないからです。
山田錦は丁寧に手間ひまかけるほど、クリアですっきりとした名酒に醸すことができる品種なのです。
また一方で、酒粕は現在、養殖漁業で最も注目され研究されている飼料でもあります。
酒粕を飼料に配合することで、そうでない養殖魚よりもおいしく育てるという研究です。
『よかわ錦うなぎ』は吟醸酒の材料と同じ山田錦を食み、完全に整備された環境で、毎日愛情を込めた飼育で育てられています。
まさに、うなぎ版の大吟醸『吟醸鰻(ぎんじょううなぎ)』の名を冠するにふさわしいと言えるでしょう。
最新の屋内循環型水槽システム
『よかわ錦うなぎ』は養殖地としてこれほど恵まれておきながら、飼育環境の整備に一切妥協しいません。
うなぎたちは、しらす(稚魚)のころから、屋内の清浄な水槽の中だけで育てられます。
水槽は最新の循環型システムを備えており、わずかな水の濁りも汚れの原因を分子レベルで無害化し、浄化しています。
日頃から水質検査と品質管理を繰り返し、365日24時間、水質も温度もうなぎが最も健やかに育つ環境が維持され続けています。
また徹底した検査の眼は水槽だけでなく、うなぎ一匹いっぴきにも向けられます。
毎日エサを与えるたび、その食欲と健康状態をつぶさに観察し、すべてのうなぎが極上の旨さを備えるよう愛情を込めて世話をしています。